2020年8月
【第4回】妄想マーケティング『ビール7×泡3黄金比問題』
ビールを楽しむうえで欠かせないのがビールの泡と相場が決まっていますよね。
筆者もビールにとって泡は非常に大切な存在であり、ビール7:泡3が最も美しく正しい状態だと思っていました。
しかしクラフトビールを提供するお店やタップルームで出てくるビールにはビール9:泡1くらいの割合でしか入っていない場合で経営者が外国人の場合は特に顕著な気がします。
そこでこんな疑問が生じてしまいました。
『泡って必要なの??』
『もしかしてビール7×泡3で喜んでるの日本人だけ?』
という訳で筆者なりに調べてみたというお話です。
ビールの泡はビールが作られるときに自然にできる二酸化炭素で出来ているようです。
ビールの原料である大麦を発酵させるための酵母が大麦に含まれる糖分を分解してアルコールを生み出す際、一緒に二酸化炭素も生成されそれがビールの泡となっているようですね。
ちなみに大麦の中にふくまれるタンパク質やホップにふくまれるルブロンという樹脂成分(じゅしせいぶん)が泡を消えにくくしているようで、ほかの炭酸水と違ってビールの泡は残りやすいという理屈のようです。
つまり、ビールの泡は作り方と原料的に考えてどうやっても出るものということです。
次はよく言われる、ビールの泡がビールを美味しくする理論について考えてみましょう。
これは色んなサイトや専門家の方も言ってますが、主にビールが空気に触れることで酸化するのを防ぎ美味しい状態を保ち、なおかつ泡がビール特有の苦みやえぐみを和らげてくれるんだとか。
なるほど、泡はビールを美味しく保つステキな存在だという訳です。
では、こちらもよく聞く7:3がビールと泡の黄金比!
という理論ですがなぜ7:3になったのか面白い話を見つけましたので紹介させて頂きますと、昔上野のビアバーで泡が多すぎることに腹を立てた客と店が裁判で争ったことがあるようです。
そして裁判の結果『泡もビールの一部だから違法ではないよ。でも最低限7:3くらいでビールいれとかんとアカンで』となったとか。
つまりビールを提供するお店にとっては、最低でもビール7:泡3の割合で入れとけば泡でかさ増しして利益率を上げる姑息な作戦だ!という指摘は当たらなくなるという訳ですね。
逆に言えばビールの美味しさと泡の量は特に関係無いということですね。
ビールの泡にはビールを美味しく保つための有難い役割があることがよく分かりました。
しかし、泡の量に関しては先に紹介した過去の判例以外に7:3で無ければいけない理由は特に無いというのが筆者の結論です。
ビールを美味しく保つために必要なら多分ビール9:泡1でも十分機能するでしょうし、最悪ビール8:泡2でも問題無いと思います。
泡自体が美味いんだ!という方もいらっしゃると思いますしそれは否定しません。
確かに普通のお店とは全く違うクリーミーな泡で提供しているお店もありますしそれは美味しいと思います。
それを加味したとしても、ビール本体の量が多いに越したことは無いとも思ってしまいます。
一杯当たりの単価が高いクラフトビールでは、ビールと泡の比率も満足度に大きな差をもたらす可能性が高い!
完全に酒飲みの発想ですが、ビール7:泡3というこれまで当然のように思われてきた提供スタイルはどちらかというと商業的な発想の方が強いことが分かりました。
黄金比などと言うまやかしは一度忘れて客が求める理想の提供比率を改めて模索してみるのもアリなのではないでしょうか。
美味しいビールをなるべく沢山口に運びたいと願う一クラフトビールファンの切なる願いでした。